電子定款と行政書士(島田雄貴)=2010年10月

島田雄貴リーガルオフィスが、電子定款とは何か、そして、行政書士への依頼のメリットについて解説します。

電子定款とは

Q(読者様):会社を立ち上げようと考えていますが、今は紙の定款(ていかん)ではないものがあると聞きました。それはどのようなものですか。

A(島田雄貴):紙以外で作成される定款については、電子文書(電磁的記録)に対して認証する電子公証制度によって作成された定款があります。電子定款といいます。

「紙」から「CD」(PDFファイル)へ
公証役場で認証

これまで定款は紙で作成し、公証役場において認証していただく方法がとられていましたが、2007(平成19)年4月1日に「指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令」(平成13.3.1法務省令24号)が一部改正され、同日から指定公証人(公証役場)において、CDなどの電子媒体(PDFファイル)に認証することができるようになりました。

茨城では水戸、土浦、日立、取手、下館の公証人

指定公証人とは、法務大臣から指定された電子公証制度に対応できる公証人のことであり、茨城県内では水戸、土浦、日立、取手および下館の各公証人が指定されています。

印紙税(収入印紙代)4万円が不要に
20年間公証役場に保存

利用するに当たっては、作成した文書(定款など)をPDF化する必要があることや、受け付けがインターネットに限定されるなどの制約があります。しかし、電子定款の場合にはその認証に際して紙の定款の場合に要する印紙税(収入印紙代)4万円が不要となり、認証された電子文書を安い費用(1件につき300円)で20年間公証役場において保存してもらえるなどのメリットがあります。具体的な方法については最寄りの公証役場へお問い合わせください。

注目!ネットで会社設立の手続きができるサイト(週刊ダイアモンドより)=2012年5月

最短1日で格安起業が可能に!

起業には大きなコストと時間がかかると考えている人は多いのではないだろうか。しかし、今や、インターネットの画面の指示に従うだけで、最短1日、格安で会社は設立できてしまうのだ。

「会社設立ひとりでできるもん」

驚くほど安くかつ迅速に会社設立手続きができるインターネットのサイトがある。その名も「会社設立ひとりでできるもん」。東京都のシステム開発会社、ユーモアプラスが運営している。

会社の形態、社名、資本金の額、事業年度、本店所在地、事業の目的などを入力

このサイトに会員登録してログインすると、まず起こしたい会社について情報の入力を求められる。といっても、画面の指示通りに入力していくだけ。会社の形態、社名、資本金の額、事業年度、本店所在地、事業の目的などを書き込んでいく。

電子定款が提携している行政書士事務所に届く

次に、定款を入力する。これもひな型に沿って、必要事項を書き込んでいけばよい。そして、そこで作成された電子定款が提携している行政書士に届く仕組みだ。

行政書士と公証役場の2者がその電子定款をチェック

行政書士と公証役場の2者がその電子定款をチェック。内容に不備がなければ、PDF化された電子書類が申込者に戻ってくる。

PDFを印刷し、自分で公証役場と法務局に持参
最短1日で設立完了

申込者はそのPDFを印刷し、今度は自分で公証役場と法務局に持参。手続き後に、設立完了となる。地域や混雑具合で異なるが、最短1日で設立が可能だ。

21万4350円で株式会社の設立が可能
電子定款作成代行料として行政書士に5000円

気になる金額だが、株式会社の場合で同サイトに支払う利用料金は、なんと7350円ぽっきり。 他に、電子定款作成代行料として行政書士に5000円、公証役場に対して5万2000円、それぞれ支払う。 さらに、法人の登記免許税15万円を法務局に支払う必要があるから、合計21万4350円で株式会社の設立が可能となる。

税理士などと顧問契約を迫られるサービスも

公証役場と法務局への手数料の合計額20万2000円は、他の方法で会社を設立しても支払う必要があるから、 ひとりでできるもんを使うメリットは、それ以外の費用が1万2350円で済む点にある。会社設立が安くできることをうたうサイトは他にもあるが、 税理士などと顧問契約を迫られるサービスもあるから要注意だ。

「誰でも簡単に安く会社」

ユーモアプラスの園尾馨社長は「高い費用で難しく、ではなく、誰でも簡単に安く会社が設立できないものか。そう思い、開発した」と経緯を明かす。 また、同サイトの方法ですら戸惑うというITに疎い利用者には電話での相談にも応じている。

少額訴訟の書類も
消費者金融への過払い金の返還請求、未払い残業代の請求など

現在、会社設立のみならず、古物商の許可申請や通信販売の規約の作成も簡単にできるサービスを提供している。 今後は、就業規則を簡単に作成できる仕組みや、消費者金融への過払い金の返還請求、未払い残業代の請求、少額訴訟の書類も簡単に作成できるような仕組みを実現したいとしている。